自転車通勤制度:各社はどのような形で自転車通勤を組み入れているのでしょう?

自転車通勤でポイントがたまる!エゴなエコを応援するエコポイント制度=「DECOポン」

株式会社デンソー

「『エコだから、環境にいいから』というだけではなかなか難しいですから、うちは「自分のため」から始めようということで、『エゴなエコ』で行こう、と(笑)」制度考案者の門井氏が語る。
規定の「エコ活動」をすると「エコポイント」が付与される「デンソーエコポイント制度」、通称「DECOポン」というユニークな制度がある。2.5km以上の距離を自転車で通勤した際には、5~20ポイントが付与され、「エコ活動」の中でも、自転車通勤は比較的高ポイントの活動と位置づけられている。自分にもうれしいことが起こる「エゴなエコ」で活動の浸透を図っているのだ。

どうして自転車通勤制度が生まれたの?

この制度は、もともと、刈谷の本社に勤務するスタッフの半数がマイカー通勤で、約5,000台もの駐車場の確保が困難だったこと、渋滞や排気ガスなど、近隣にかける迷惑への対策を講じたところから始まった。
環境との調和を目指すという企業ビジョンの実現には、従業員ひとりひとりの参画が必要。だが、現実的に継続的な取り組みを促すには、義務や、キレイごとだけではダメだと考えたという。そこで、環境や地域のためになる「エコ活動」をすることで「感謝され」→「喜びを感じる」という感情面のモチベーションに加え、ポイントを集め、地域のための寄付や、有機農産物などのエコ商品との交換に使えるというというインセンティブが付く制度を整えた。
結果、若い世代を含む、あらゆる年齢層の男女が、エコ活動への関心を深め、参加するようになったそうだ。自転車通勤を申請した従業員たちは、暑い夏場も継続して自転車通勤を続けたそうだ。今は、自転車通勤の快適さを実感している方も増えているようだ。

自転車で通っても、ガソリン代が丸々もらえる!社員の提案から生まれた自転車通勤制度

三洋電機株式会社

およそ10,000名の従業員が勤務する東京製作所(群馬県邑楽郡)では、3700人ほどの従業員が、自転車あるいは徒歩で通勤している。マイカーで通勤した際にかかるガゾソリン代実費相当額は、自転車通勤者にも減額なしで支払われ、これが実質上の自転車通勤補助手当となる。

「Think GAIA」(地球が喜ぶことをしよう)を企業のビジョンとして掲げ、環境、エナジーの先進メーカーを目指す三洋電機。社員の中から2006年の「改革提案制度」の中で「自分たちにできる」CO2の削減、渋滞緩和という、環境や地域への貢献をしようと、このエコ通勤のアイデアが上がり、実現したという。

同社での通勤補助の対象は、グループ社員のうち、自宅から勤務地までが2km以上離れているケース。駐車場は返上しなければならないが、ケガや体調不良、雨天時、出張前など、自転車で通勤するのが難しいときは「雨天駐車場」の利用が認められている。同社の電動アシストバイクの割引販売など、自転車通勤へのシフトを後押しする制度も整っている。現在では10km以上の距離を自転車で通うのは30名程度。最も遠方からの自転車通勤者は、片道24.7kmの距離を通っているという。
さらに10月からは毎週金曜を「ノーマイカーフライディ」と位置づけ、週の一日だけでもマイカー通勤を止めるよう、呼びかける制度も始まった。

四輪から二輪へ、段階的「エコ」化でCO2削減へ。電車+自転車でも「乗り継ぎ通勤制度」でサポート。

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機では、二輪車のメーカーということもあり、四輪自動車から、二輪車、自転車、徒歩通勤に切り替えれば「エコ通勤」と認定され、エコ通勤手当が支給される。「乗り継ぎ通勤制度」など、取り組みやすい中間の段階も用意し、脱マイカー通勤のシフトを促している。

どうして自転車通勤制度が生まれたの?

通勤時に発生するCO2排出量を抑えることで、企業総体としての環境負荷を抑えようという試みだった。従業員の15%がマイカー通勤で排出するCO2の量だけでも、ヤマハ発動機製造部門のCO2排出量の1%にも相当するそうだ。関連会社を含め、10,000人の従業員のうち、73%が四輪自動車で通勤していた。

該当資格を持つのは、片道2km以上の通勤距離を持つ従業員。自社の電動スクーターのレンタル制度や、二輪の購入時には、代金の一部をキャッシュバックするなどのインセンティブも用意している。
公共交通機関を使用しても、定期代の他に、その前後の両区間(自宅、勤務地から最寄り駅まで)の距離が2km以上あれば「乗継通勤手当」が支給される。両方の最寄り駅前駐輪場に通勤用自転車を保有したり、折りたたみ自転車で通う従業員もいるそうだ。

毎月「エコ通勤実態調査」を実施し、従業員の意識を高める工夫が功を奏し、2004年12月から開始された「エコ通勤」施行後、実際に四輪のみで通勤をする従業員の数は、確実に減少を見せている。

「快適だから」自転車通勤 自転車通勤は時間が不規則なIT企業のミカタ!

株式会社はてな

株式会社はてなでは、なんと京都本社の従業員の8割、東京支社の4割が自転車で通勤。月額2万円の自転車通勤手当を受け取る資格は「自転車で通勤していること」のみと、いたってシンプルだ。

どうして自転車通勤制度が生まれたの?

代表の近藤淳也氏が、大学在学中にアメリカ横断、日本縦断などを経験し、ロードレースにも参戦していた経歴を持ち、率先して自転車通勤を行ったことが始まりだった。たとえ深夜にサーバーダウンなどの緊急事態が起きても自転車ならオフィスに急行できるという便利さ、パソコンに向かう時間が長く、自転車で通勤時に身体を動かせることが、心身の健康にいいこと、環境面への配慮から、自転車通勤を奨励するようになった。自転車通勤の快適さを体感したスタッフたちの声に影響され、自転車通勤をする者の割合は今も増えているという。自転車通勤ができる場所に自宅を確保する社員もいるそうだ。

「便利だから」増えた自転車通勤その快適性を高める設備も完備!

株式会社シマノ

世界に誇る自転車のコンポーネント、パーツメーカー、シマノ。大阪府堺市の本社は、まさに自転車通勤奨励企業の見本ともいえるレベルまで、自転車通勤の環境を整えている。

どうして自転車通勤制度が生まれたの?

発端こそ「自転車のコンポーネントメーカーとして、自転車通勤を禁止する理由がない」というものだったそうだが、快適な自転車通勤をサポートするための設備は、さすがのひとこと。制度としての自転車通勤が確立されたのは1986年というが、これらの設備は、その前から存在はしていたようだ。ここまで環境が整ったのは、「自転車関係の製品を作っているから」なのか「便利だから」なのかすでにわからないというほど、ごく当たり前のことのように自転車の環境が整い、洗練されている。

現在、大阪府堺市の本社には、自転車パーツ部門の他、同社のもう一つの柱である釣り具部門に従事するスタッフが勤務しており、総数はおよそ1200人ほど。うち400人が自転車、400人が公共交通機関、400人がマイカーで通勤しているそうだ。それぞれで自身の通勤形態を申告するが、何らかの理由で申告外の方法で通勤したい場合でも、駐車場、駐輪場を使用することができる。コンポーネントメーカーらしく、以前は自転車通勤手当を受け取るための条件が「ギア付きの自転車に乗っていること」だったそうだが、現在は特に定めていない。また周囲への啓発の意味を込め「ヘルメットをかぶっていること」も積極的に推奨している。ヘルメットの購入の際には補助を受けることもできるという。

自転車好きの代表に影響され、愛好者が増加。交通費に相当する、通勤手当の補助も実施されている。

千葉学建築計画事務所

原宿にある千葉学建築設計事務所では、10名中7名のスタッフが自転車で通っている。つまり、今や7割のスタッフが自転車通勤者ということになる。

どうして自転車通勤制度が生まれたの?

この高濃度な状態を作り上げたのは他でもない、自転車好きで知られる代表の千葉学氏だ。自転車通勤者のほぼ全員が「千葉氏が自転車で事務所にやって来る姿を見て」始めたという。

スタッフ間に自転車が流行り始めた時には、安全面を守るため、千葉氏自らが丸一日をかけて、自転車講習会を開いたそうだ。女性の割合が高いこともあり、プログラムには乗車マナーや乗り方、必要なアイテムの紹介に加え、メンテナンスやメカニズムの解説まで盛り込まれた。この努力が通じたのか、従業員同士でツーリングに行ったり、ワンボックスをレンタルして、皆で自転車イベントに参加したり、プライベートでも自転車を楽しむまでになっている。

通勤補助としては、自転車通勤をしても、公共交通機関使用分に相当する通勤手当の支給が確保されている。深夜まで業務が続くことも多いそうだが、最も遠方のスタッフは、橋本から10km以上かけてやって来る。満員電車から解放され、時間にも縛られない自転車通勤の快適さは魅力的なようだ。